「眠りにも個人差がある」。子どもの夜泣きに悩んだ日々が、今の私につながるまで

ママになっても「自分自身も大切にしてほしい」――
そんな想いを掲げるネオママイズムが、さまざまなママの姿をお届けするneomamaismインタビューブログ。
Vol.34となる今回は、睡眠コンサルタントとして活躍する三橋かなさんがゲストです。
現在、小学4年生と1年生の育児に奮闘する三橋さんですが、お子さんが小さいころ、夜泣きに悩んだ経験があったそうです。「なぜこんなにも寝てくれないのだろう?」その疑問と不安から、乳幼児の睡眠について学び始めた三橋さん。そこから見えてきたのは、それまで知らなかった「睡眠との向き合い方」でした。
育児に悩みながらも、1人の母親としてたくましく歩んできた道のりを、三橋さんに伺いました。
母になって初めて知った、想像と現実のギャップ
――まずは、三橋さんのこれまでのご経歴を教えてください。
大学卒業後はテレビ局に入社し、アナウンサーとして働いていました。結婚を機に退職し、第一子を妊娠、出産。産後に仕事復帰を考えましたが、当時は保育園の待機児童の壁が厚く、「働きたくても働けない」という状況に…。その後、しばらくは専業主婦として育児と家事に専念していましたが、待機児童が緩和されたころに、子どもを預けてパートの仕事を始めました。
2人目が生まれてからは、夜泣きに悩まされるようになっていきました。病院で相談しても「そのうちに落ち着きますよ」としか言われなくて…。1歳半になっても、夜通し眠ることがなかったため、SNS経由で知った「乳幼児の睡眠」資格を勉強し始めたんです。学びを深める中で、「子どもの夜泣きは改善できる」と確信し、2021年に睡眠コンサルタントとして独立。現在まで、子どもの睡眠に悩むお母さんや子育て支援者の方たちに向けて、情報発信を続けています。
――悩みや疑問が出発点となって、専門的な学びを深めていったのですね。ここからは、妊娠中や育児の様子について詳しくお聞きしたいと思います。お子さんを授かったとき、不安や大変さはありましたか?
1人目を妊娠しているときは、吐きづわりがひどかったのですが、2人目ではよだれづわりに悩まされました。よだれづわりは、唾液の分泌が過剰になり、喋ることが難しくなるほど口の中に唾液が溜まってしまうマイナートラブルです。吐きづわりも相まって、つらい妊娠期間を過ごしました。

――出産して、赤ちゃんと対面したときのお気持ちはいかがでしたか。
赤ちゃんの泣き声を聞いた瞬間、ホッとしたのと同時に、「妊娠中の苦しさから、ようやく解放された!」という気持ちになりました。
それから、「出産に関して、知らないことが多かったな」としみじみ実感。陣痛中の「いきみ逃し」も、いざその痛みに直面しないと、どんな感覚なのか想像できませんし、陣痛の感覚が縮まってきても、「今、赤ちゃんはどんな状態なんだろう?」とイメージがつきにくかったり…。
実際に出産を経験して初めて、「わからないこと」が明らかになったような感覚でした。
「眠れない」は、思っていた以上につらかった
――産後、睡眠不足に悩まされたと伺っています。妊娠前と比べて、妊娠中や産後の睡眠はどのように変化していきましたか?
妊娠中は、夜中によく目が覚めてしまっていました。ホルモンバランスの変化だと思うのですが、足がつって目が覚めたり、尿意で起きてしまったり…。妊娠前までは、睡眠で悩んだことがなかったので、「眠れないことがこんなにつらいのか」と悩むようになっていきました。
産後も「赤ちゃんは昼夜問わず泣くもの」だとわかっていても、自分が眠りたい時に眠れないという苦しさが募っていきました。特に2人目の出産後は、上の子を起こさないようにするために、夜中の寝かしつけや授乳を工夫しなければならず、ものすごく気を張っていたように記憶しています。

――2人目のお子さんの育児中は、夜泣きにも悩むようになったそうですが…。
そうなんです。1人目のときはそれほどでもなかったのですが、2人目は夜泣きがひどくて。夜になると1時間ごとに泣き出してしまい、なかなか寝付けない状態でした。小児科で相談してみても、「成長とともに落ち着くでしょう」と言われるばかり…。夜、子どもの泣き声を聞くたびに「上の子のときと何が違うのだろう」と、悶々と考えていました。
1人で抱え込んでいたことに、後から気がついて…
――1時間おきの夜泣きは、母親としてもつらいですね…。誰かに頼ったり、相談したりはしていましたか?
夫は仕事で忙しく、両親もまだ仕事をバリバリやっていて、自分の親の介護も大変そうだったので、周りになかなか頼れず、「私が頑張らなければ」と自分を奮い立たせていました。
でも、そうしているうちに、徐々に気分が落ち込むようになっていき、突然涙があふれてくるようになってしまって…。2人目が生まれるまでは、上の子を怒ったりしたことはなかったのに、イライラして怒ってしまうことが増えていきました。子どもを怒っては、自己嫌悪に陥るという繰り返し。「すべて投げ出して休むことができたら、どんなにいいだろう」と考えたほどでした。今振り返ると、当時の私は産後うつの状態だったのかもしれません。
――知らず知らず、心がSOSを発信していたのかもしれませんね。
そうですね。それまでの自分は「忍耐力はある方だ」と思って生きてきたので、頑張りすぎてしまったのかもしれません。
他にも、育休中に「仕事をしていない」ということが、後ろめたさにもつながり、お金を使うことをためらうようになっていました。「気分転換に」と、数百円のお菓子を買うときでさえ、「自分は稼げていないのに…」と躊躇してしまうほどでした。

――気分が前向きに切り替わったきっかけはあったのですか?
2人目の子が生後10カ月ころ、パートで営業事務の仕事を始めたことが、気持ちを切り替えるきっかけになったように感じています。睡眠不足は相変わらずでしたが、外に出て社会とのつながりを持てるようになったことや、自分の力でお金を稼げるようになったことで、気持ちが前を向けるようになっていきました。
睡眠について感じた疑問が、キャリアの転機になった
――子どもの睡眠に関して学び始めた理由について教えてください。
下の子は1歳半になっても睡眠が安定せず、私も朝までぐっすり眠れたことはありませんでした。そのときの「なぜだろう?」という疑問と共に朝まで眠れない日々の中、自分を救いたい一心で「乳幼児の睡眠」をオンラインで学び始めてみたら、改善策に辿り着いたんです。
睡眠にも個人差があり、その子に合った睡眠環境と睡眠スケジュールを整えていくことが、子どもの眠りを安定させるための大切なポイントでした。その学びに従って、2人目の睡眠環境を整えていったら、夜も本当に少しずつでしたが安定して眠ってくれるようになりました。

――ずっと悩んできた夜泣きへの改善方法に、辿り着いたのですね。
「もっと早くに知っておけばよかった」という後悔の気持ちでした。早くに改善に向けて動き出せていたら、上の子にも、下の子にだって対してもっと優しく接することができたのにって…。
その時の思いが原動力となり、「ほかのお母さんたちも、昔の私のように子どもの夜泣きに悩んでいる人がいるかもしれない」と、2021年に睡眠コンサルタントとして開業することを決意したんです。
――開業してから今年で6年目。現在、三橋さんの活動はどのように広がっていますか?
これまで、たくさんのお母さんの夜泣きや寝かしつけに関する悩みをサポートしてきました。最近では、東京都でねんねの相談室連携が始まったり、講演会でのお話しや企業内でのセミナー、保育園の相談窓口として対応したりするほか、助産師や保健師、歯科医師などの専門家と連携した活動なども始まっています。
子どもの夜泣きに悩む人がいなくなるよう、今後もさまざまなアプローチを続けていきたいと考えています。

三橋かな様の役に立ったおすすめグッズ
(1) エルゴポーチ「ドリフトアウェイ ポータブルホワイトノイズマシン」
スムーズに眠りを誘うサウンドが流れるアイテムで、現在も愛用しています。心地よいサウンドで、家族のいびきや寝言を遮音してくれるので、入眠しやすい環境づくりに欠かせない存在です。
(2) パナソニック「ベビーモニター」
https://panasonic.jp/hns/products/KX-HC705.html
2人目が1歳半になるころに購入しました。少し離れていても見守っていられる安心感があり、泣き出してしまったときも、モニター越しに合図を送ってくれるのですぐに対応することができました。
(3)「ベビーベッド」
ベビーベッドは、「赤ちゃんの寝る場所」として境界線を設ける役割もあります。生後6カ月くらいになると、「ベビーベッドは卒業して、親と一緒に寝ている」という人がまだまだ多い日本の現状ですが、、月齢が進むと動き回るようになるので、ベッドから転落したり、お母さんの方に寄っていって押し潰されてしまう危険性もあります。睡眠コンサルタントとして、安全面の点から、ベビーベッドの使用をおすすめしています。
※1歳未満は、親と同室であり、安全に配慮された別の寝床で寝るを推奨しています。
プロフィール
三橋かな
睡眠コンサルタント
広島県出身、愛知県名古屋市在住。2児の母。育児中に睡眠に悩み、産後うつ状態を経験したことをきっかけに、乳幼児の睡眠について学ぶ。2021年に睡眠コンサルタントとして起業。講座やイベントを通して、夜泣きや寝かしつけの改善方法を提案している。これまでに2,500人以上の親子をサポートし、多くの夜泣きの改善に携わってきた。現在は、小児科や保育園との連携や子育て支援者向けの講義なども行っている。2025年に初めての著書『親子にやさしい 赤ちゃんの気質タイプ別ぐっすりねんねガイド』を上梓。
https://www.instagram.com/kana_mitsu.nenne/