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最適解は、自分のなかに。旅を通じて心の声を聞く

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ママになっても「自分自身も大切にしてほしい」――

そんな想いを掲げるネオママイズムが、さまざまなママの姿をお届けするneomamaismインタビューブログ。

 

 

Vol.10となる今回は、旅行専門雑誌『じゃらん』編集長を経て、現在は旅行業界の支援・企画マーケティングを通じ地域活性を行うNao Predeek 大橋菜央様がゲストです。

 

 

大橋様はアメリカ人のShane様とご結婚され、6歳、3歳のふたりの女の子と4人家族。毎年夏の2〜3ヶ月間をアメリカで過ごすなど、お仕事とご家族との時間の両方を満喫し、充実した毎日を送られている様子がSNSからも伝わってきます。

 

 

現在の生活を実現した背景には、長期滞在したアメリカでのある気付きがありました。育児と仕事は天秤にかけるものではないとわかっていても、現代を生きる私たちが悩んでしまいがちなテーマについて、ご自身の経験からメッセージをいただきました。

 

 

 

心のバイアスに気付いた瞬間が、大きな転機に

 

 

――大学卒業後、株式会社リクルートに入社。旅行雑誌『じゃらん』の編集長としてご活躍されていました。これまでの歩みを教えてください。

 

小さいころから、ものづくりが好きでした。ビーズで遊んだり、小さいテディベアを作ったり。美術系の大学に進むことも考えたのですが、高校時代に芸術系の科目を選択したらスキルあふれる友人たちの存在に圧倒されてしまって。私は美術の活動は趣味にしようと思ったんです。

それで、大学では総合政策学部に進みました。リクルートに入社するとき、適正テストでクリエイティブに適性があるという結果が出て。最初は営業をしていてその時代もとても充実していましたが、のちに『じゃらん』編集部に配属され、2012年から編集長を務めました。

 

 

――昨年独立されましたが、それまでのキャリアを考えると大きな決断だったと思います。独立されたのは、何かきっかけがあったのでしょうか?

 

1ヶ月間お休みをもらって、家族で夫の地元であるアメリカのポートランドに行ったんです。ポートランドってとても緑豊かで、スローライフを送る人が多いサステナブルシティなんですよ。

そこに、サンフランシスコで女性実業家として活躍していた義理の妹が引っ越してきたので「こっちでの生活はどう?」と聞いたら、「こうして地元に戻るジャッジを、10年前にしておけばよかった」って言うんです。

 

「忙しく大きな責任を伴いながら働いてきたのもすごく楽しかったけれど、いまは親やパートナーとの時間が増えた。一緒に運動したり、自転車で出かけたりする日々は掛け替えがない」って。

 

それを聞いたときに、私は10年後の未来からいまを見て「こうしておけばよかった」と後悔することはないか考えたんです。

 

 

 

――当時は、どのような生活を送られていたんですか?

 

平日も子どもたちとの時間を確保するために勤務時間を9時〜16時30分と決めていて、そのワークライフバランスが自分にとっての最適解だと思っていたんです。

でもそれって、知らず知らずのうちに自分が考えられる範囲での常識、心のバイアスにとらわれてしまっていたと気付いて。その夏アメリカで出会った人から沢山の刺激を頂き、新しい視界で見たときには今の自分と家族にとってのあるべきはまた今とは違う形だという結論に至りました。

帰国してすぐの上司とのミーティングで「お休みを頂きありがとうございました。私は半年後に辞めさせていただきます」と伝えました。

上司もびっくりしてはいましたが、意思決定の背景をお伝えすると「それはいいね」と背中を押してくれて。

 

――ポートランドで気付きがあったとはいえ、決断のスピードに驚きます…!ふだんから、決断が早いタイプなんですか?

 

退職することは、アメリカに行って1週間で決めていました。私、ふだんは流されて生きているんですけど、「こっちじゃなかった!」と思ったときは誰にも止められないくらい頑固なんですよね(笑)

そうして会社を離れ、2023年に独立し、いまは旅行業界の支援・企画マーケティングを通して地域活性を行っています。

またリアルな地域活性の実験やコミュニケーションの場として京 都の古民家リノベーションや、小豆島のキャンプサイト「SHIMASTREAM」の開発なども 行っています。

 

 

 

無痛分娩のつもりが、夜中にテニスボールを50個購入⁉

――妊娠・出産のお話を伺いたいと思います。妊娠期間中はどのようにお過ごしでしたか?

 

もともと胃が弱いからなのか、とにかくつわりがひどかったです。妊娠初期から後期まで、ほぼ毎日吐いている感じでしたね。吐いてもなぜか妊娠前より18kgほど体重が増えたので、特に後期はお腹が人一倍膨らんで胃が圧迫されちゃって辛かったです。

それでも出産までマタニティヨガを続けていたので、脚がつるとか、体が不調で動けないとか、いわゆる妊娠にまつわるマイナートラブルはほぼありませんでした。

 

 

――つわりがひどい時期、食事はどうされていましたか?食べられるものも限られたのではないでしょうか?

 

私の場合、妊娠してから人工添加物の味に敏感になってしまったんです。天然素材で出汁をとり、オーガニックの野菜で作るお料理は食べられるんですけど、市販のものがキツくて。レストランに行くのが怖くなっていた時期もあったくらいです。

だからといって自炊するのも辛かったので、夫に協力してもらいました。「この出汁で、この野菜のおひたしを作って欲しい」とか細かくリクエストして。

夫は作り慣れていない和食を、頑張って作ってくれていました。

 

――妊娠中にして良かったことは、さきほど挙がったマタニティヨガのほかに何かありますか?

 

妊娠や出産にまつわることって、諸説あるものが多いですよね。例えばコーヒーをどの程度飲むとNGか、生肉はなぜダメでそれがどの程度怖いのか、病院によって考えが違いますし、 定量化・可視化されていないことが個人的にすごくわかりにくいと感じていて。

そのモヤモヤを解消するのに、エミリー・オスターという方が書いた『お医者さんは教えてくれない 妊娠・出産の常識ウソ・ホント』という本がとてもためになりました。

著者が経済学者でデータ解析のプロフェッショナルだから、信頼できるデータを提示して、すべてエビデンスに基づいて書いてくれているんです。和訳されているので、何かに迷ったときはおすすめですよ。

 

 

――出産に向けて、準備したことはありますか?

 

それが、忙しいなかでいろいろと調べ尽くすことができておらずちょっと大変な思いをしてしまって… で出産できると思っていたら、妊娠も後期に差し掛かる頃に夜間と土日には無痛分娩ができないと分かって!なんとか平日の昼間に陣痛が来るよう祈るような気持ちで生活していたのですが、23時ごろに突然破水してしまったんです。

最初から自然分娩で産む予定だったら痛み逃しのエクササイズをしたり気持ちの準備をしたり色々できたと思うんですけど、そんなつもりじゃなかったんで、何にも調べてなくて。

麻酔ができる先生が到着してやっと麻酔をしてもらえたときは、もう終盤。

陣痛の痛みを味わい尽くした後だったので、振り返ると、あれは普通分娩だったなと思います(笑)

 

 

――壮絶な出産体験でしたね…(汗)。ご家族はどんなサポートを?

 

陣痛がちょっと引くタイミングでこの痛みをどうしたら軽減できるか調べたところ、テニスボールがいいと知って。夜中に夫に「テニスボール買ってきって!」って連絡したら、ドンキホーテに走ってくれたんです。でもテニスボール1、2個のバラ売りはしていなかったようで、夫が買ってきたのが50個セット(笑)。

このボールどうしようね?って笑いました。

2人目は同じことにならないよう、妊娠がわかってすぐに24時間365日無痛分娩できるところを予約しました。ちょっと重い生理痛程度の痛みで産むことができて、本当に現代の医療技術は素晴らしいと感激しました。

 

 

「自分はこうありたい」と思う気持ちを見逃さないために

 

――お子様とどんな時間を過ごしたいかなど、子育てに具体的なイメージを持たれていましたか?

 

いつも何かをするときはビジョンを描くようにしているんですけど、育児はビジョンを描くことと都度修正の繰り返しだなと思っていて。というのも、自分がこんなにも子どもと一緒の時間を過ごしたい、自分の時間を削ってでも子どもの成長をもっと後押ししてあげたいという気持ちを抱くなんて、生む前にはあまり想像できていなかった気がするんです。

 

先ほどお話ししたよう、9時に仕事を始め16時半に切り上げるよう調整して、平日も子 どもと一緒に買い物をしたり、散歩したり、仕事とのバランスを探っていました。

 

特に1人目を産むときはまだ編集長としてやり残していることがたくさんあったタイミングで、ちょうど両親が定年退職し、東京に引っ越して同居するというフルサポートをしてくれたので、子どもが3ヶ月になったときに復職しました。本当に助かりました。

 

 

――子育てをしてみて、想像していたよりも辛かった、しんどかったと思うことはありましたか?

 

一番は、睡眠時間が確保しにくくなったことですね。ずっと睡眠命で生きてきて、自分のコンディションのために睡眠不足にならないように整えていたところから、初めて自分ではコントロールできない睡眠不足があるんだと知って、育児って想像をはるかに超えて大変だなと思っていましたよ。

特に長女が赤ちゃんの頃なかなか睡眠が安定せず、長時間抱っこしないと寝なかったり、やっと寝ても朝4時に起きちゃったりして。

よく覚えているのは、体調が悪くてすごくしんどかった日に、母親が赤ちゃんを夜 通し見てくれたことがあったんです。

 

たった1日だけだったんですけど、朝起きたらすごく回復していたんですよね。どんなプレゼントより、ゆっくり眠れた1日が一番ありがたかったです。これはいまでも記憶に残っています。

 

 

――お仕事と子育てについてお聞かせください。日本ではいまだに、仕事と子育てのバランスをとることが難しかったり、二者択一で語られたりするシーンも見受けられます。大橋様は復職される際、どのように考えられていましたか?

 

子どもにとって何がいいかということと、母親のメンタルが子どもにすごく影響する部分もあるので自分がどうしていたいのか、両軸で考えていました。そして仕事と育児と家事のぜんぶをこなすのは難しいので、まず家事をアウトソースしましたね。

 

食事は家族それぞれの好みもあるのでなかなか手放せていないんですけど、掃除は積極的にお願いしています。

 

あと、先ほどご紹介した本の著者であるエリー・オスターさんは、彼女自身もママになって色々成長されていくなかで、『米国最強経済学者にして2児の母が読み解く子どもの育て方ベスト』という本も出しているんです。

 

母親が働いている場合と働いてない場合で、子どもにはどう差が出るのか?寝かしつけるときに1人で寝るのとそうじゃない場合で、愛着形成において差が出るのか?エビデンスが出ているのは何で、選ぶべき解はそれぞれの環境や経済状況などによって違うということを、客観的に指南してくれています。

実証実験の結果を見ながら、自分がどうしたいかを照らし合わせて読んでみるといいと思います。

 

 

――仕事と育児の両立に悩みを抱える方に向けて、大橋様からメッセージを送るとしたらどのようなものになりますか?

 

私がいつも思うのは、まわりに流されないということですね。女性がもっと社会で活躍するべきだとか、逆に子どもの育児は女性が率先してやるべきだとか、いろんな意見がある。

それにいちいち惑わされていたら、自分にとって最適な選択ができなくなってしまいます。

 

だからまわりの意見は、聞くけど聞き流す、みたいな(笑)。

それよりも、自分や自分の家族がどうありたいか、この子にどう接したいかを考えるほうが大切だと思います。家族のあり方は家族の数だけありますから、答えは世の中にあるわけではなく、自分で決めていくことだと 。

 

 

――「自分はこうありたい」と思う気持ちを見逃さないこと、蓋をしないことだとも言い換えられるような気がします。

日々忙しいなかでそんな心の声に耳を傾けるのはなかなか難しくもあると思いますが、大橋様はどうされていましたか?

 

私は旅がすごく好きで、ふだんとは違う環境に身を置くことで、本当に大切にすべきことに気付く瞬間があったと思います。先ほどお話ししたよう、退職を決意したのは、アメリカでの経験があったから。それまで自分のなかで最適解だと思っていた仕事と育児のバランスを見つめ直すきっかけを、そこで知り合った人たちが与えてくれたことが大きかったんです。

 

いつもの環境に身を置いていると出ない答えが、ぜんぜん違う視野を持った人と対話することで見えてくる。旅が難しい場合は、本を読むこともおすすめです。旅をするのと同じくらい、新しい体験ができると思います。

 

子どもの特性を伸ばせるように

 

 

――お子さまと接する際に、心がけていることはありますか?

 

長女と次女の性格がぜんぜん違うので、それぞれ関心のあるものを大切に伸ばしていきたいと思っています。たとえば長女はアートが好きなので、毎日何かを描いたり作ったりしないと気が済まない。

一方で次女は食に関心があって、自分でお米を研ぎたいし、最近はご飯を作りたいというので子ども用の包丁を使って一緒に料理をしています。

私のお腹から出てきた子、って一緒くたに考えてしまっていたのですが、こうも違うのか!と、面白く見ています。

 

 

――それぞれの興味関心が違うために、意見が割れるなんてことは?

 

あります、あります!何がしたい、どこに行きたいとかは基本的には話し合いで決めるようにしているんですけど、どうやら上の子より下の子の意見が強いみたいなんですよね(笑)。

2人で決めているように見えて、お姉ちゃんが意見を押し殺してしまっている場面があるみたいで。

それに気付いてから、決定プロセスはちょっと介入するようにしています。今回はどっちにするかじゃんけんで決めようねとか、今回はこっちだけど次回はこうしようねとか。

 

――育児の楽しさを挙げるとしたら、どんなものでしょう?

 

日を追うごとに、子どもたちがメキメキ成長していくことですね。特に3ヶ月間アメリカに行っていたときの成長が著しくて。現地に激しくもすごく安全に作られているアスレチックパークがあったんですけど、年齢制限がないんです。日本だと年齢制限でチャレンジできないような施設でも、アメリカらしく“親御さんの責任でやってください”という感じで。

子どもたちからするとそれがすごく楽しかったようで、毎日通った時期がありました。そうすると、昨日できなかったことが、次の日にはできる。明らかに、コツを掴んだり、筋肉が発達しているように見えるんですよ。それに、下の子は英語がほとんど喋れずにアメリカに行ったのに、帰る頃には普通に近所の方に話しかけるくらい上達していて。

そういうのを目の当たりにするととても嬉しいですし、自分自身も成長していきたいなと思いますね。毎年夏の2〜3ヶ月間はアメリカに行くと決めているので、次は何をしようかと夫と話しています。

 

 

――最後に、今後の展望や、やってみたいことがあれば教えてください!

 

今は自分で始めた会社を通じて様々な方との出会いが広がって行くのがとても面白く日々が変化に富んでいます。同時に子どもたちと過ごす時間が増えたことで、学校内でのコミュニティが広がり、家族ぐるみでのお付き合いも増えて、またそれをきっかけにチャレンジしたいことも広がる一方です。

直近ではご縁あって、友達ママと子ども向けのアートスクールを開催しようかと企んでみたり、友達パパに誘われて去年取得した船舶免許2級から1級にトライして、家族みんなで船の旅に出かけようと計画しています。

 

 

 

 

本当に私、川の流れに乗っているだけで、あまりこうしたい!という強い思いがないんですけど、自分と家族との対話を大切にして、たまには旅を通じて心のバイアスを外し、どんな状態が自分にとって心地よいか最適解を探していくことはしていきたいです。

 

そうしていれば、10年後の自分がいまの自分を見たとき、後悔することは少なくなるはずなので。

 

 

 

 

 

大橋様の役に立ったオススメグッズ

 

・ヒップシート

子どもの家の中での抱っこから自分で歩きたくなる頃なんかは外でも大活躍でした!「昔はこんなグッズなかった〜」「便利そうね!」とよく声をかけられました。

 

・ベッドインベットになるネスト

我が家は赤ちゃん別室ではなくママのベッドだったので、とても便利でした。日中のお昼寝にも使えて、ベッドより抱っこから置く時がラクで背中スイッチが入りづらい。うちの子が小さい頃はまだneomamaismのネストがなかったけど、持ち運びも出来て良いですね◎

 

 

大橋様Instagram

https://www.instagram.com/naoliving?igsh=MWtvbmxnc2RieTd1dw==

Nao Predeek 大橋 菜央

大阪出身。2006年株式会社リクルートに入社。営業職・企画職・事業統括を 経てから旅行専門雑誌『じゃらん』編集部へ。2012年より『じゃらん』編集⻑・統括編集⻑を担う。そののち、国内旅行情報サイト『じゃらんニュース』やアプリ『週刊じゃらん』の立ち上げを担当。2023年に独立し、旅行業界の支援・企画マーケティングを通して地域活性を行う。

プライベートでは2016年に結婚。現在は、6歳の⻑女Miaちゃん、3歳のAnnちゃん、夫のShane様との4人家族。

💻 https://creco.jp.net/

🏕 @naoliving

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