すべての経験が幸せへの道筋。自分の人生を輝かせるために
ママになっても「自分自身も大切にしてほしい」――
そんな想いを掲げるネオママイズムが、さまざまなママの姿をお届けするneomamaismインタビューブログ。
Vol.20となる今回は、東京都台東区の「クローバーこどもクリニック」院長である、小児科医の眞々田容子さんがゲストです。
小児科医としてキャリアを積んできた眞々田さんは、31歳の時に第一子を出産。しかし産後すぐ、社会から断絶されたような孤独感から、産後うつになりかけた時期があったそうです。その後、パートナーとの別れも経験しましたが、現在は「自分らしさ」を大切に、仕事と育児、プライベートにと、充実した日々を送っています。
「数々の転機を経て、仕事や子どもへの向き合い方を見直すことができた」と話す眞々田さんに、これまでの歩みを振り返っていただきました。
「根本治療に向き合いたい」キャリアを積む中で開業を決意
――まずは、これまでのキャリアについて伺いたいと思います。子どもの頃から医師を目指していたそうですが、どのようなきっかけがあったのでしょうか?
小さい頃から、「人間の体」に興味があったのですが、高校生の頃に両親が離婚したことも、大きな転機になったように感じています。
両親の離婚にショックを受けた私は、「どうしたら自分の心を癒やせるか」を考えるようになりました。次第に、人間の心理や哲学に興味を持ち、医学の道を志すようになったんです。
――小児科医を選ばれた理由を教えてください。
高校1年生のとき、親友が白血病を患ったことがきっかけです。その子は治療の甲斐なく亡くなりましたが、死の直前にもらった手紙には、「容子、早くお医者さんになって。病気の人たちを助けてあげて」と書かれていました。
彼女の存在があったからこそ、「必ず医学部に行って約束を果たさなければ」という決意を固く持つことができたんだと思います。その後は、小児白血病の研究で有名な信州大学への進学を目指し、勉強に励みました。
2回目のチャレンジで、希望した信州大学医学部に入学することができ、卒業後は大学附属病院の小児科をはじめ、複数の病院で経験を積みました。
――39歳の時に、地元で開院されましたが、独立することは以前から考えていたのでしょうか?
当時、開業することは、まったく考えていませんでした。というのも、開業直前に勤務していた賛育会病院の小児科・新生児科がとても好きだったからです。娘の出産のときにお世話になった病院でもあるのですが、小児科と新生児科どちらも診られる環境に魅力を感じていて、「ここに骨を埋めよう」と考えていたくらいだったんです。
しかし、診療していく中で、「西洋医学の限界」が見えるようになってきて。私はアレルギーを専門としていて、小児の湿疹やアトピーなどの症状を多く診ていたのですが、薬を使っても良くならないケースが一定数あり、患者さんのご家族から疑問をぶつけられることも少なくありませんでした。
私自身、大学時代にアトピーを患っていて、ステロイド剤で一旦は良くなるのですが、薬をやめるとまたひどくなるという時期がありました。だから尚更、親御さんからの「こんなに薬を使っているのに、うちの子はどうして治らないんですか」という言葉が心に突き刺さったんです。
――眞々田さん自身も、「薬を使っても治らない」という経験をしていたのですね。
そうです。でもある時、ジムの先輩から「容子ちゃん、体は食べ物で作られているのよ」と食生活の改善を促されて。その後、食事を見直したところ、長い間悩んでいたアトピーが治ったんです。
その時の経験を思い出し、「患者さんの食生活もヒアリングしてみよう」と思い立ちました。すると、これまで治らなかった患者さんの発疹が、わずか1カ月で改善。「やっぱり食べ物だ」と確信しました。
大きな病院では、診療内容にオリジナリティを出しにくかったため、「根本治療を叶えるためには、開業するしかない」と独立への覚悟を決めたんです。
――開業までの準備で大変なことはありましたか?
開業する直前に夫と離婚をしていたため、準備とともに生活面も大変でした。当時の娘は、小学校低学年くらいでまだまだ手がかかる時期。シングルマザーとして家事と育児に向き合いながら、開業の準備を進めました。
また、住宅ローンと開業資金として1億のローンを抱えていたため、「ちゃんと返済できるかな、1人で診療できるかな」と先が見えない不安に恐怖を感じるほどで…。あの頃は、お金を使うことに消極的になり、もやしと豆苗が食卓の定番でしたね。
孤独感から産後うつになりかけて…。職場復帰で「仕事が私の喜び」と実感
――妊娠、出産時のエピソードについてお聞かせください。
31歳のときに娘を出産しましたが、妊娠期間はワクワクする気持ちと一緒に、大きな不安も感じていました。これまで小児科と新生児科で、さまざまな患者さんを診てきたこともあり、「無事に産まれるだろうか」という気持ちになっていたんです。
出産はとてもスムーズでしたが、臍の緒が赤ちゃんの首に巻き付いた状態で出てきたため、顔色が悪い状態でした。泣き声は上げてくれたのですが、酸素を吸う必要があり、数時間別室で処置してもらうことに。最後まで「大丈夫かな」と不安と緊張でいっぱいでしたね。
――医師として、たくさんの症例を診てきたからこその不安だったのですね。
そうですね。改めて「無事に産まれるって、すごいことなんだな」と感じることができました。
――産後の育児はいかがでしたか?
産後1カ月は実家に戻り、母と祖母に赤ちゃんのお世話を手伝ってもらいながら、のんびり過ごしました。
しかし、自宅に戻ってからは生活の変化に戸惑う日々で…。朝から晩まで「赤ちゃんと2人きり」という毎日に、どうしたら良いかわからなくなってしまいました。当時、ドクター仲間も専門医の資格をとり始める時期だったので、「私だけが取り残されている」と社会から断絶されたような、強い孤独感に襲われました。あの頃を振り返ると、気分の落ち込みが激しく、いわゆる「産後うつ」になりかけていたんだと思います。
当時の夫は仕事が忙しく、夜遅くに帰宅するため、顔を合わす時間はほぼゼロ。私の不安な気持ちを共有することもできず、「話す人がいない」という状況に陥ってしまったことが、落ち込みの原因だったのかもしれません。
――その後はどのように改善されたのですか?
生後3カ月で職場に復帰したことで、孤独感や不安感が解消されました。同時に、「仕事が私の喜び」と実感することもできました。
――医師として、育児と仕事のバランスを取るのは大変だったのではないでしょうか。
そうですね。娘が生後6カ月の頃には、当直勤務も再開していたので、週1回は36時間労働でした。今考えれば、自分のペースを考えて、職場に相談していればよかったのかもしれませんが、当時は「やるのが当たり前」という風潮だったんです。
幸いにも保育園は、病院に附属している施設に預けることができたので、送り迎えは楽でした。娘が熱を出してしまったときは、申し訳ないと思いながらも小児科病棟の空きベッドに寝かせ、看護師さんに看病をお願いして仕事へ。当時の記憶があまりないほど、忙しい毎日でした。
「娘の生き方を尊重」離婚を機に子どもとの向き合い方にも変化が
――シングルマザーとしての子育てや、お子さんとの向き合い方で大切にされていることを教えてください。
「1人の人間」として、娘の生き方を尊重することを大切にしています。
でも実は、娘が小学3年生の頃までは、「私の思う通りに行動してほしい」という思いを強く持っていました。離婚と再婚の経験が、娘との向き合い方を考え直すきっかけを与えてくれたんです。
私はこれまで、合計3回の結婚と離婚を経験しています。娘は2番目の夫との子ですが、小学校に上がる前に離婚を決断。その2年後に、再婚をしました。新しい夫に娘も懐いていましたが、時折、「前のパパに会いたい」と口にすることがあって。さらに、娘にチック症状が出るようになってしまいました。
娘の環境を変えたことで、負担をかけ過ぎてしまったことを自覚し、「これ以上はかわいそうだ」と、再び離婚を選択することにしました。
その後は、娘の人生に「こうしてほしい」などのレールを敷くことをやめました。私と娘は親子ですが、人格は別。彼女の意思を尊重し、良さを伸ばしてあげられるように支えてあげたいと考えています。
――その後の娘さんとの関係はいかがですか?
今、娘は高校3年生になり、美術系の大学に進学することを考えているようです。マイペースで頑固な性格は、よくも悪くも私にそっくり(笑)。でも、お互いにのびのびと、良い距離感で接することができています。
――さまざまな経験から得た気づきが、現在につながっているのですね。
そうですね。波瀾万丈な人生ですが、すべて幸せになるための歩みだと思っています。
今年から始めたベリーダンスや、神職養成講座による神道の学びも「私らしく生きるため」の手段の一つ。ベリーダンスで「女性性」を高めることで、経営者としての「男性性」とのバランスを図り、神道の学びを、患者さんと家族の心のケアに繋げていきたいと考えています。
幸せの形は人それぞれですが、私らしく輝いて生きる姿勢を、娘にも見ていてほしいと思っています。
――今後、チャレンジしてみたいことはありますか?
ママたちの悩みや不安を共有できる、オンラインコミニュティーを立ち上げたいと考えています。2025年の開設を目指して進めていく予定です。
眞々田容子様の役に立ったオススメグッズ
SHARP/加熱水蒸気オーブンレンジ
https://jp.sharp/range/products/rewf275/
油を使わずに調理できるので、ヘルシーに料理が仕上がります。オーブンで肉や魚を焼いている間に、副菜などを調理できるので普段から大活躍しています。
Cousinart/ハンドブレンダーセット
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手間のかかるみじん切りもハンドブレンダーなら楽々。ポタージュスープなども簡単に作れますし、料理の幅も広がりました。
プロフィール
眞々田容子
小児科医/クローバーこどもクリニック院長
東京都台東区出身。2001年に信州大学医学部卒業後、同大学医学部附属病院小児科で研修を行う。2002年より山梨県甲府市の市立甲府病院小児科に勤務。その後、帝京大学医学部附属溝口病院小児科勤務を経て、2009年より賛育会病院小児科・新生児科の医長に就任。自然治癒力を高め、根本から治す治療を目指して、2015年、東京都台東区に「クローバーこどもクリニック」を開院する。