五感で感じる出産と子育て
neomamaismインタビューブログVol.5。
今回のゲストは、東京都神津島にお住まいの角村悠野様。
6歳、4歳の双子のお子様を子育て中の3児のママです。
角村様のInstagramの投稿では、大自然の中で子どもたちがダイナミックに遊んでいる姿や、ご主人様は旧車、角村様はダンスと、お互いの好きなものを貫いておられる姿も印象的。
今回はそんな角村様に、子どもたちとのびのび遊ぶヒントや、お互いの好きなことを認め合えるご関係作りについて伺いました。
生い立ち
— 角村様はどのようなお子さまでしたか?
出身は東京都日野市で生まれ、その後八王子で育ってきました。
舞台との出会いは、小学校3年生の時に子ども向け演劇ワークショップに参加したことがきっかけです。
姉に連れて行かれて嫌々の参加でしたが、それが劇的な経験となりました。
小さな頃からバレエや踊りをしたいと言っていましたが、親の意向で叶うことはありませんでした。
その後も踊りたいと熱望していたけれど、なぜかできなかった青春時代で、ようやく始められたのは大学に入ってからなんです。
周囲は小さな頃からバレエや踊りをしていた人が多い中で、私はすごく技術があるダンサーでもないんです。
ただ、踊ることが好きすぎて熱量は誰にも負けませんでした。
— 願い続けていてもなかなか叶わなかったとは!
そこまで想い続ける『踊ること』は角村様にとってどのような存在なんでしょうか?
踊りと言ってもさまざまなジャンルがあると思うのですが、私自身のダンスは少数派だと自覚しています。
例えば…音楽や振り付けがあって踊ることが一般的だとしたら、音や振り付けがなく踊る『即興ベースのダンス』になります。
感覚を研ぎ澄まして、五感をフルに作動させると言いますか…
人間の身体自体が神秘で、踊ることで内側にある知りたい世界が見えてくる気がしています。
そういう意味では、妊娠出産はダンスと同じで興味深かったです。
妊娠出産の新しい価値観
— 妊娠出産に興味があったとのことですが、実際に妊娠されて心境の変化はありましたか?
妊娠、出産こそ身体の神秘だと思っています。
命が宿り、赤ちゃんの成長と共に身体の変化を経て、出産して一人の身体に戻る。
実際の出産は、壮絶な経験でした。
未だに身体の不調はありますが、この変化を味わい尽くしてみたいと思ったんです。
一人目の妊娠は、もちろん初めての体験ばかりで『頭と身体がついていかない』大パニックの連続でした!笑
自分の身体が自分じゃなくなる感覚と言いますか…
食べることだけでも『自分の食べたいもの』と『お腹の中の赤ちゃんにとっていい食べもの』と『お腹の赤ちゃんが今欲しているもの』はそれぞれ違っていて選択しなきゃいけなかったり。
変化についていけず、慣れるまで時間もかかりましたし、後から気づくことも多かったです。
2人目は大丈夫だろうと思っていたらまさかの双子で、想像を超えたレベルで大変でした!
あと、出産は助産院でしたいという夢があったのですが実際は叶いませんでした。
— 『頭と身体がついていかない』まさにその通りですよね!なぜ助産院で出産されたいと思われていたんですか?
助産院は、出来るだけ自然に近い状態で希望の出産に向き合ってくださる場所だと思うんです。
出産までのケアや、助産師さんとの信頼関係を築けることも魅力でした。
赤ちゃんの出てきたいタイミングに合わせて、安心できる環境で出産を体験してみたいという想いが非常に強かったんです。
実際、1人目は出産ギリギリまで助産院に通っていたんですが、微弱陣痛だったため緊急転院で促進剤を使用しての出産となりました。
2人目こそはと思っていましたが、双子だったのではじめから大きな病院しか選択肢がありませんでした。
結果的に、無事に出産できたことは病院で多くの方々に助けて頂いたからこそと思っています。
双子2人とも3,000gの健康な身体で出産できたことは、奇跡だなと本当に感謝しています。
— お2人共3,000gは本当にすごいですね!妊娠中に意識されていたことはありますか?
身体にストレスが溜まらないようにヨガなどはしていました。
あと、食べ物に関しても身体が必要としているものを感じるのが上手かったのかなと思っています。
双子妊娠中お腹が大きくなってくると、思うように動けないストレスや、付きまとう痛みや、びっくりするくらい大きくなった自分の身体に戸惑いはありました。
そういう時は、『絶対、産後に着るぞ!』とオシャレな服や下着をネットでずっと見てはモチベーションをあげていましたね。笑
苦しい中でもストレスが最低限になるように、自然と行動できていたのかなと思います。
双子の子育て
— 双子さんご出産後のお世話も大変そうなイメージがありますが、実際はいかがでしたか?
まずは双子を出産したという身体的ダメージが大きすぎました。
全力で子育てをしていて『子どもに対して大変』と感じたことはなかったと思います。
『全員抱っこしてあげたいのにできない』
上の子もいたので『3人泣いているのに1人でどうしたらいいんだろう』
すべてしてあげたいのにできない辛さがありました。
双子が生まれて初めの3か月間は、夜に体を横たえることも叶わず…自分が3時間続けて寝られたのは、生後8ヶ月になってからでした。
日々やらなきゃと思っているリストの最重要の3つぐらいしかできず、もどかしさを感じていました。
でも子どもたちは可愛くてたまらなくて、とにかく全力でした。
— ずっと寝られなかったとは想像以上です。でもその状況でも子どもに対して大変と思われなかった角村様を尊敬します!ご家族の協力はありましたか?
島に戻ると主人も仕事が忙しくワンオペの状態になってしまうので、双子を出産後5か月ぐらいは実家で過ごしていました。
『大丈夫!もう動けるでしょ!』という感じの母でしたが、長い間本当にお世話になりました。
自宅に戻って家族だけになってからも、主人はとにかく車にしか関心を示さなかったですね!笑
旧車マニアで、出産前に旧型ジープを購入していました。
周囲には『衝撃が強くて新生児は乗せられないんじゃない?』『こんな時期に買わなくても…』と心配してくれていたんですけど…
私の中で、彼がやりたいことは絶対に止めないと決めているので反対しようとは思わなかったです。
現在でも夫婦仲が良く『相手をコントロールしようとはしない関係』がうまく築けているのかなと思います。
子どもが小さいうちはどれだけ説明しても、全くどう立ち回って良いかわからなかった主人ですが、最近では私が数日家を開けても大丈夫なくらい、子育ても楽しんでいる様子です。
— すごい素敵なご関係ですね!そうはいっても…特に子育てが大変な時期はつい『なんで自分ばかり!』とご主人様を責めてしまうことはなかったですか?
もちろん『どうしてしてくれないんだろう』と頭によぎることはありますよ!笑
でもそれをぶつけても解決はしないので。
『どうやったら自分の力で解決できるのか?』と出来るだけ早くシフトチェンジするんです。
例えば、自分一人ででも3人の子どもに抱っこやおんぶをたくさんしてあげられるように、自分の体にも優しく負担の少ない抱っこ紐を探したり。
『これを購入することで、相手を責める理由がなくなるのであれば必要な投資だよね!』とまずは楽しむ工夫を一番にします。
かなり吟味するけど、最終的に我慢はしない!笑
『しっかり子育て楽しんで、しっかり体を回復させたら、またしっかり稼げる時がくる』と、自分を信じて進んでいます!笑
お子さまとの関わりで意識されていること
— お子さまとの関わりで意識されていることがあったら教えてください。
乳幼児期の育児では、出来る限りたくさん抱っこをしてあげるように意識していました。
成長した子どもたちですが、いまだに全員抱っこやおんぶをして欲しいと甘えてくれます。
少し大きくなってからの抱っこの意味は『痛い思い』『悲しい思い』をしたときの安心できる避難場所になっているみたい。
学校や保育園、外で頑張っている子どもたちにとって、いつでも戻れる居場所を築くことができたと思います。
— 素敵な考え方ですね!今日からそんな気持ちで抱っこしてあげたいです。
Instagramではお子さまが大自然の中ダイナミックに遊ばれている様子が印象的ですが、外遊びはいつ頃からされていましたか?意識されていることがあったら教えてください。
上の子はとても外遊びが大好きな子なんです。
なので下の子たちは、上の子に合わせて赤ちゃんのうちから出かけていました。
外で遊ぶと5時間くらい出かけるので。
子どもが帰りたがらない時は、いつまでも付き合ってあげられるように必要なものは全て車に詰め込んで持っていきました。
出先で授乳やオムツ替え、離乳食も当たり前でした。
— 外遊びをしていると『もう帰ろうよ』とこちらの都合で言ってしまいがちなので幼い双子の赤ちゃんがいるのに、長時間付き合ってあげられるなんてすごいです!
外で遊んでいると『汚れるからもうやめよう』『危ないからやめて』という場面もあるかと思うのですが、そういう時はどうされていますか?
汚れてしまうことに対しては、帰ったら洗えばいいだけなので。
着替えを持っていって、汚れたら着替える。
洗うのめんどくさい…とかあると思うのですけど。
“めんどくさい”と思ったらそこにこそ楽しめる工夫を凝らしています。
工夫することに集中していたらそのうちに慣れて、めんどくさかったことがなんでもなくなってる。
そうして一つ一つ強くなる。その自分をひたすら楽しんでいるんです。笑
あとは寒ければホッカイロを貼ったり、防寒性の高いアウターを用意したり。
試行錯誤しながら『帰ろうよ』といわなくても良い準備をすることに燃えていましたね。笑
双子も家の中より外にいる方が機嫌が良かったので、今思い出しても、あの時にしか味わえない良い時間を過ごせたなと感じています。
危険な場面については、ある程度の痛い思いを経験することも必要なのかなと思っています。
もちろん安全確保は大切で、危険がなく自由に遊ばせてあげられそうな場所を選んで連れていきました。
歩き出す前と歩き出してからは、気をつけなければいけない部分が変わってくるので『ここなら遊べるね』と場所探しも常に試行錯誤していました。
島の自然豊かな環境だからこそできるところも大きいです。
後ろから見守ったり環境を整えてあげれば『危ないよ!』という機会は減らせるのかなと思っています。
怒らなければならない要因を、必要最低限におさえられると、母親のストレスってかなり減らせるなーと感じました。
遠回りなようで、結局これも自分に一番優しい選択をしているとも言えますね。
— 言わなくていい環境を整えることが大切なのですね!外で遊ぶときの参考になります。
いつもお子さまの気持ちを優先にされている角村様なので、怒る姿が想像つかないのですが、叱る時はどのように声をかけているのかも気になります。
緊急性がある時は腹の底から吠えます!誰もがビビるほどの威力で。
これぞ舞台で鍛えた力ですね。笑
そうでない時は子どもが少し落ち着いてから、静かに淡々と、しつこく話します。
粘着な性格なんで!笑
『○○をされて嫌でした。お母ちゃんはこう思いました。なぜ、あなたはそうしたんですか?』という感じです。
きっと子どもたちにとったらシンプルに怒鳴られるより、タチの悪い絡まれ方をされるようで最悪だと思います。
また、ホルモンバランスなどでどうしてもイライラする日ってあると思います。
例えば極端な例ですが、生理+ダブル授乳でワンオペとか。
そんな状況下の自分に『せめて機嫌悪い日くらい、思いっきり機嫌悪くいさせてあげたい!!』と思うんです。
そういう日は気が済むまで、とことん機嫌が悪いままでいます。笑
ただ大事なのは、その時機嫌が悪いのは、子ども達のせいではないよということを知っていてほしいので『今日は母ちゃん機嫌悪いからほっといて』と伝えています。
そうすると子どもたちも察してくれて、とっても優しくしてくれます。笑
— 素敵な伝え方ですね!気持ちに余裕がないときはそうやって伝えてみようと思います。
ご自宅で角村様が表現されながら踊っているInstagramの投稿が多くございますが、お子様もご一緒に踊っていらっしゃるんですか?
それぞれ子供も好きに踊りますが、ほとんど一緒にはやりません。笑
最近ありがたい事に、バレエの教室を手伝わせて頂いたり、イベントなどで振り付けのお仕事を頂くことがありました。
その練習もしているので、母が集中している時に近づくと危険なことを子どもたちも感じるのか、今話しかけてはいけないという暗黙の了解で成り立っています。笑
そして収入の有無に関わらず『お母ちゃんは踊りがお仕事なんだよ』とあえて伝えるようにしています。
掃除や洗濯、ごはん作りや、君たちの世話をするのが大好きだけど、これがお母ちゃんの仕事ではありません。
だから家のことや、身の回りのことは、出来ることから自分たちで、みんなで協力してやる事なんだよ、と提言しています。うちのルールみたいなものです。
生活することが“じぶんごと”になってほしいからというのと、自分自身が踊ることを諦めてしまわないよう、戒めも兼ねてます。
お母ちゃんは踊ることが好きで、お父ちゃんは乗り物が好き。
多分子どもたちは、さまざまな環境をこれから知ることで『我が家は何かが違う!』と驚くのかもしれません。笑
それぞれ3人持って生まれた性質は違うので、のびのびと自分の好きなことをして欲しいなと思っています。
『自分の中の軸となる好きなものや自分を表現する力』ができたら、どんな世界でも生きていけるんではないかなと思っています。
—相手を動かそうとせずに、違う視点で解決しようと楽しまれている角村様のお話が印象的でした。
『どう工夫したらできるようになるのか?』環境を整えることが大切なんですね。
大切な存在が増えるからこそ、自由に好きなことをすることに消極的なママも多いかと思います。
信頼の上で成り立っている『お互いの好きなものを認め合えるご家族の関係』も素敵です!
角村様、貴重なお話をありがとう御座いました。
角村様の役に立ったオススメグッズ
ベビーラップ
私の双子育児に一番欠かせなかったものです。
一枚布で、新生児から、大きくなったお兄ちゃんもおんぶ抱っこできます!
難しそうとか、めんどくさそうとか思われるかもしれませんが、それはこの快適さを知らないからだと思います。
本当に身体が楽でオススメです。
babybjorn バウンサー
ベビーラップと相性の良いバウンサー。
これなしには私は育児出来ませんでした!
角村様Instagram
https://www.instagram.com/haruno_423kakumura/
https://www.instagram.com/fuuuuuta.k/
山も海も空も水も最高な所なので、
2015年頃に神津島に移住。
のりものが好き
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