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「母親がご機嫌でいられる子育て」を追求! パートナーが「育児リーダー」になることで深まった家族の絆

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ママになっても「自分自身も大切にしてほしい」――

 

そんな想いを掲げるネオママイズムが、さまざまなママの姿をお届けするneomamaismインタビューブログ。

 

Vol.25となる今回は、教育関連事業を展開する識名由佳さんがゲストです。

 

日本の教育現場で感じた気づきをもとに、研究所「Shikina Education Research Institute」を立ち上げた識名さんは、教育への学びを深めるため、2020年にアメリカの教育大学院へ留学。修了後に第一子を妊娠した際も、「育児」に関する研究論文を読み、「母親がご機嫌でいられる子育て」を追求しました。

 

「育児も仕事もプライベートも、自分がやりたいことを大切にしている」という識名さんのお話からは、母として、そして女性として、毎日をハッピーに過ごすためのヒントを得ることができました。

 

 

「お互いがやりたいことをする」。留学期間は夫婦で別居生活を送った

 

――現在までのキャリアについて教えてください。

 

大学卒業後は、コンサルティング会社に入社し、企業の経営コンサルタントとして4年間勤めました。その後、NPO法人Teach for Japanのプロジェクトに参画し、神奈川県の公立中学校の派遣教師として1年間勤務。その経験の中で、「子どもたちがもっと楽しく、効果的に学べる方法はないだろうか」と考えるようになり、「教育」についての探究を深めるため「Shikina Education Research Institute」を設立しました。2020年には、アメリカのコロンビア教育大学院に留学し、国際比較教育学コースで各国の教育状況を比較しながら、効果的な学び方について探究しました。

 

現在は、家族と一緒にフィリピンに拠点を移し、日本の大学院の教材開発のサポートや、地方自治体のコンサルティングを行っています。

 

――結婚されたのが、2017年だと伺っています。留学中は、パートナーと離れて暮らしていたのでしょうか。

 

そうです。夫も仕事でアメリカにいましたが、留学期間中は、私がニューヨーク、夫はワシントンD.C.で生活していました。結婚当初から、「お互いのやりたいことをする」という関係を築いてきたので、離れて暮らすことについては、そこまで抵抗感は感じませんでした。

 

 

 

――お互いを尊重し合っている素敵な関係ですね! 大学院を修了した後、第一子を妊娠されたそうですね。

 

大学院を修了後、夫の暮らすワシントンD.C.に引っ越しましたが、まもなく妊娠が判明しました。「将来、子どもを持ちたい」と希望していたので、すぐに授かることができて嬉しかったです。病院で心音を聞いたときには、涙があふれてきて「母性ってあるんだな」と感じました。

 

――妊娠期間で思い出に残っているエピソードを教えてください。

 

アメリカでは、出産を控えた妊婦さんのために、友だちが「ベビーシャワー」というパーティーを企画してくれます。その際、「ほしいものリスト」を作って参加する友だちに公開し、プレゼントしてもらうのですが、当時の私は何がほしいのか思い浮かばなくて…。

 

「産後の忙しい生活を想像したくない」という現実逃避な状態で、産後の育児グッズを調べることもしなかったんです。でも、日程が迫ってくると「早くリストを作って」と友だちに急かされてしまったので、「それならば」と、私のテンションが上がるアイテムをリストに入れることに。赤ちゃんとおそろいの服や、かわいいベビー服を選んでリストを作ったんです。

 

 

 

――一般的には、赤ちゃんのケア用品など、産後すぐに必要になるアイテムをリクエストする人が多いようですが…?

 

そうみたいですね(笑)。だから友だちにも「かわいい服をそろえても、育児の役には立たないよ」と、たしなめられました。結局、友だちが「本当に必要なもの」をリストアップしてプレゼントしてくれました。

 

――妊娠生活でつらかったことや、大変だったことはありますか?

 

安定期に入ってから、日本に一時帰国したとき、母が「マタニティ用下着」を買ってくれて。一緒にお店で選んだのですが、デザインや色が好みのものがなく、正直、「ダサい」と感じていました。それでも、「せっかく買ってくれたのだから」と着用してみたのですが、鏡に映った自分の姿に落胆してしまって…。「母親になったら今までの自分ではいられないんだ」と、気持ちが沈んでしまいました。

 

その後、友だちにその話をしたところ、意外とみんなマタニティでない服を着ているということが判明。母には申し訳なかったですが、マタニティ用ではない自分好みの服を買い直したことで、その後はご機嫌に過ごすことができました。

 

 

 

育休の2カ月間、パートナーが「育児の主担当」になることを決めて…

 

――産後の育児について、パートナーと決めていたことはありますか?

 

夫が育休を2カ月間取ることになっていたため、「育休中は、夫が育児を主担当で行う」という約束をしていました。なぜなら、「夫に安心して子どもを任せられる状況を作りたい」と考えていたからです。

 

友だちに、育児についての悩みを聞いていると、産後の女性が抱える不満の多くが、「夫に子どもを任せられない」ことにあると感じています。夜、赤ちゃんが泣いていてもパートナーは目を覚まさなかったり、おむつ替えや沐浴や、赤ちゃんとのお出かけの準備が母親にしかできなかったり。。パートナーが戦力にならないと女性は産後のボロボロの体で、無理をしながら朝から晩まで赤ちゃんのお世話に追われてしまいます。

 

そうすると女性はイライラが募り、パートナーに対してマイナスの感情を抱くようになってしまう…。「子どもを産んで、夫婦仲が悪くなるのは嫌だな」と思いました。

 

 

――パートナーに、当事者として育児と向き合ってほしいと考えたのですね。

 

「当事者」であるとともに、「育児リーダー」の期間を作ってもらおうと考えました。

 

私たちにとって最適な子育て環境を作るため、妊娠中、育児に関する研究論文を読み漁りました。その中で、「男性の育児参加」についての論文に出会い、「これだ!」と閃いたんです。

 

その論文には、育児に携わることで発達する「親性脳」という脳の機能についてまとめられていました。女性の場合、妊娠と出産を経験することで、自然と脳が育児モードに切り替わり、「親性脳」が発達していくそうですが、男性の場合は、「育児を主担当で行うことが発達の鍵となる」とのこと。ゲイカップルの子育てを研究した論文でも、「主担当を経験した方の脳に、母親と同様の変化が見られた」という結果が出ていました。

[※上記論文について識名さん執筆記事:https://note.com/sugo_ron/n/n99cd4f7f0fd1 ]

 

夫にもそのことを伝えて、「産後すぐに、私は旅に出るから後はよろしく」と伝えたところ、驚きながらも了承してくれて。産院での沐浴やオムツ替えの指導のときも、私ではなく夫が説明を受けました。

 

――頼もしいパートナーですね…! 出産はいかがでしたか?

 

出産は、無痛分娩を希望していましたが、赤ちゃんが4000gと大きかったため、最後には帝王切開になりました。手術中、痛みは感じませんでしたが、術後は傷口が痛くて、起き上がることもままならない状態。結果的に、完全に夫が育児の主担当として赤ちゃんとの生活がスタートしました。

 

「感謝の気持ちでいられる」。夫婦仲だけでなく、赤ちゃんと父親の絆も深まった

 

――パートナーが主担当として育児をする様子を、どのような気持ちで見守っていましたか?

 

夫が育休をとった2カ月間は、授乳以外のすべてを夫が担当していました。私が初めてオムツを変えたのは生後1カ月以上経ってからです。時には「私がやったほうが早いかな」と感じるときもありましたが、「夫に任せたからには」とグッと堪え、一切口出ししませんでした。

 

また、最初のうちは、夜中に赤ちゃんが泣いていても、夫は起きませんでした。しかし、その都度、「赤ちゃんが泣いているよ」と夫に声をかけて起こしているうちに、赤ちゃんが泣くと、私よりも先に目を覚ますようになったんです。

 

 

――大きな変化ですね…!

 

「男性が赤ちゃんの泣き声に気づかない」というのは、「親性脳」の関係で、「やる気や能力の問題ではない」ということがわかりました。夫のおかげで、私は産後の寝不足に悩まされることなく、朝までぐっすり眠って体を休めることができて、感謝しています。代わりに、夫が寝不足になっていましたが…。

 

――世の中の夫婦に知ってもらいたい内容ですね。育休中のパートナーは、どのような様子でしたか?

 

疲れてはいましたが、楽しそうに子どもと向き合っていました。「父親に抱っこされると泣き出してしまう」という赤ちゃんもいるようですが、娘は父親といるときもご機嫌。父親と赤ちゃんの絆も深められたのかなと感じています。

 

そして産後6週間頃に、予定していたニューヨークへの一泊旅行を実行。この頃には、夫はワンオペで子どもと過ごせるようになっていたので、安心して出かけることができました。

 

――育休明け、パートナーの育児へのかかわり方はどのように変わりましたか?

 

育休明けの夫は、以前のように仕事が忙しくなり、育児にかかわる時間は減りました。でも、「育児リーダー」として過ごした2カ月の効果は大きく、今でも「ワンオペができる姿勢」を保ってくれています。週末、私に用事があるときも、1人で子どもを見てくれますし、ぐずったり泣き出してしまったときも、私に「どうしよう」と頼ることなく、「自分で解決しよう」という意識で子どもと向き合ってくれています。

 

――率先して動いてくれるのは本当に助かりますよね…!

 

そうですね。私も夫に対してイライラすることはなく、いつも感謝の気持ちで接することができています。

 

家事については、食洗機などの機械を活用したり、家事代行サービスを利用して負担を軽減することができます。でも、育児は夫が主担当を経験することで、その後の家庭円満につながったのかなと思っています。出産を通して夫への尊敬の気持ちが一層増しましたし、絆も深まったと思います。

 

 

「誰かのために」ではなく、「自分のために」人生を楽しむ

 

――出産前後で感じた心境の変化を教えてください。

 

「自分を褒めるハードルが下がった」ことでしょうか。赤ちゃんが産まれると、ミルクを飲んだだけで「えらいね」って褒めてしまうし、朝起きただけで「よかった」と喜んでしまいます。呼吸をしていることすら、愛おしく感じるんです。

 

そう考えると、「大人も子どもも、毎日生きているだけですごいことなんだ」と思えるようになって。だから私も「朝、目を覚まして起きられてすごい」「ごはんを用意して、食べられてえらい」と、些細なことでも自分を褒めるようにしています。特に、自分に自信をなくしそうなときに効果的ですね。

 

――自分を褒めてあげることで、心が前向きになりそうですね! これまで、さまざまなキャリアを詰んできた識名さんですが、育児とキャリアの両立のために、意識していることはありますか?

 

育児と仕事に限らず、プライベートにおいても、「その時に自分が一番やりたいこと」を大切にしています。子どもが生まれる前は「産後は、すぐ仕事に復帰しよう」と考えていました。でも、子どもとの生活が始まってみると、「子どもとの時間を優先したい」という気持ちが高まって…。今も、子どもとの時間をしっかり確保できるくらいのボリュームで、仕事に取り組んでいます。

 

 

――お子さんと対面して、「やりたいこと」が切り替わったのですね。

 

そうですね。私は、自分の興味や好奇心をもとに行動するタイプ。「報酬」や「出世」よりも、「やりたいからやる」という内発的動機を大切にしています。それが「ご機嫌でいられる秘訣」なのかもしれません。これからもずっと、自分の中の気持ちに耳を傾けてご機嫌に過ごしていきたいですね。

 

ちなみに、今の私の「一番やりたいこと」は「前後開脚」。ある日突然、「前後に開脚できたらかっこいいかな」と思い立って(笑)。今はプロのトレーナーさんにプログラムを作ってもらって、ストレッチやトレーニングに励んでいます。後少しで完全に開脚できそうなので、頑張ります!

 

 

識名由佳様の役に立ったオススメグッズ

 

スリープトレーニングの教材「First Five Months Bundle」

https://takingcarababies.com/first-five-months-bundle

 

産後の寝不足を回避するため、妊娠中に「赤ちゃんの夜泣き」に関する情報を調べてたどり着いたのが、このオンライン教材です。「赤ちゃんの睡眠時間を、毎日5分ずつ伸ばしていく方法」が紹介されていて、実践したところ、生後4カ月ごろには夜通し寝てくれるようになりました。

 

赤ちゃんのおくるみ「Love to dream」

https://lovetodream.com

 

赤ちゃんを自然な姿勢のまま包み込めるおくるみです。 このおくるみに包んであげると、ぐっすり眠ってくれました。

 

 

プロフィール

 

識名由佳

「Shikina Education Research Institute」代表

大学の法学部を卒業した後、コンサルティング会社に務める。その後、NPO法人Teach for Japanの活動に参画し、派遣教師として神奈川県の公立中学校の数学を担当。活動の中で、「教育」に興味を持ち、教育に関する研究所「Shikina Education Research Institute」を設立。2020年より、アメリカのコロンビア教育大学院に留学。2023年に第一子を出産。現在はフィリピンを拠点に、教育関連のリサーチ事業を行う。

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