出産も育児も「予定通り」にはいかない。子育てが私に与えてくれた「しなやかさ」と「たくましさ」
ママになっても「自分自身も大切にしてほしい」――
そんな想いを掲げるネオママイズムが、さまざまなママの姿をお届けするneomamaismインタビューブログ。
Vol.27となる今回は、「子ども専門のフォトグラファー」として活躍する今井しのぶさんがゲストです。
専業主婦期間に独学でカメラを学び、フォトグラファーとして起業した今井さん。現在ではポージング写真集の執筆や、プロ向けのフォトグラファー養成講座など、活動の幅は多岐にわたります。
育児と仕事の両立で、忙しい日々を送っていた今井さんでしたが、少しずつ「やらねばいけない」という気持ちを緩めたことで、心地よく育児と仕事に向き合えるようになったそう。さらに、「子育てのおかげで『困難は成長の糧』だと受け止められるようになった」と話す今井さんに、育児と仕事を両立するためのヒントを伺いました。
「子ども専門のカメラ教室がない」。自身の気づきから起業を決意
――今井さんは専業主婦期間にカメラについて学んだそうですね。そのきっかけについて教えてください。
結婚してからは、派遣社員として仕事をしていましたが、第一子の出産を機に仕事を辞めて専業主婦になりました。その後、しばらくは家事と育児に専念していましたが、娘の幼稚園で知り合ったママ友が、お菓子教室を主宰している様子を見て、「私も何かやってみたい」と考えるようになって…。
私は娘が生まれてから、趣味で一眼レフカメラを始めていて、子どもの写真をブログに載せたりしていました。その経験から、「子ども撮影専門のカメラ教室をやってみたいな」と考え始めたんです。
それまで独学でカメラについて学んでいたため、専門の講座などで撮影に関する知識を深めようと思ったのですが、「子どもを被写体に扱うカメラ講座」は見当たらず…。そこで「ないのなら、私が作ってしまおう!」と決心しました。
――「サービスをゼロから立ち上げる」という、起業家としての視点をお持ちだったのですね!当時、お子さんは何歳くらいだったのでしょうか?
長女が6歳、次女が2歳の頃だったと思います。育児のかたわら、本やインターネットの記事を見て撮影のテクニックを学び、近所のママ友を集めてカメラ教室をスタート。次第に口コミでたくさんの人が集まるようになっていきました。
「出産は予定通りにいかないもの」計画分娩で入院したものの「一時帰宅」を促され…
――今井さんは28歳のときに第一子、その4年後に第二子を出産されたと伺っています。妊娠や出産時のエピソードで印象に残っていることを教えてください。
長女の妊娠、出産時は比較的スムーズでしたが、次女のときは大変でした。次女を妊娠中、胎盤が通常よりも子宮口に近い位置にあり「前置胎盤」と診断されてしまい…。出血してしまう危険性があったため、妊娠中期から後期は自宅で横になって過ごすことが多かったです。
妊娠後期には胎盤の位置が正常に戻ったので、陣痛促進剤を使って出産する「計画分娩」で産むことにしたのですが、予想に反して「計画通り」にはいかず…。
――計画分娩ということは、あらかじめ入院日を決めて出産に臨まれたということでしょうか?
そうです。長女の幼稚園行事などの予定を考えて、出産日を決めたのですが、入院して陣痛促進剤を打ってもらっても、なかなか出てきてくれなくて。3日間入院して、毎日促進剤を打ってもらいましたが、弱い陣痛を感じる程度で子宮口も開かず…。その後、先生から「まだみたいだから、一旦帰宅しましょう」と言われて、退院しました。
入院前、家族や友人に「産んでくるね!」と意気込んでいた手前、大きなおなかのままでの帰宅は、気まずいものがありました…(笑)。
――その後、どのくらいで出産できたのですか?
予定日を1週間過ぎても産まれる気配がなかったので、「もう一度、陣痛促進剤を打ってみよう」ということに。今度は、打った直後に、陣痛が始まって、あっという間に出てきてくれたんです。
子どもって、自分のタイミングで産まれてくるんだなと、しみじみ感じました。
――計画分娩でも予定通りにいかないことがあるのですね。産後の育児はいかがでしたか?
次女の産後は、長女の幼稚園行事などの予定が入っていたので、出産して約10日ほどで外出してしまったのですが、帰宅後に私の体中に蕁麻疹が出てしまってびっくり。病院で診てもらったら、「産後すぐで、ホルモンバランスが整っていないから、紫外線に反応したんだろう」と言われました。「2人目の育児は無理をしがち」とよく聞きますが、「やはり産後はゆっくり過ごすべきだった」と反省した出来事でした。
――フォトグラファーとして「妊娠期間にやっておくと良いこと」などのアドバイスはありますか?
新生児期の「ニューボーンフォト」の予約でしょうか。産まれた後は、赤ちゃんのお世話に追われて、あっという間に時間が過ぎてしまいます。気づいたら「新生児期が過ぎていた!」なんてことにならないよう、妊娠中に情報を調べたり、予約をしておくのがおすすめです。
子どもの成長とともに変化する悩み…長女の「思春期のこじらせ」に四苦八苦
――現在、今井さんのお子さんたちは、20歳と16歳。これまでの育児で、どのようなことに大変さを感じましたか?
長女が高校生の頃は、思春期をこじらせていて対応に苦労しました。学校を休むこともしょっちゅうで、高校3年生の6月に、担任の先生から「あと1回でも遅刻をしたら卒業できない」と言われてしまって…。
その日から、毎朝娘を学校の校門前まで車で送り届ける日々。「ママは卒業証書がほしい!」と励まし続け、無事に卒業することができました。
――お子さんは、学校に行きたくない理由があったのでしょうか?
今、改めて「あの頃は、なんで学校に行きたくなかったの?」と聞いてみたら、「なんでだろう?」と不思議そうにしていました(笑)。そういう時期だったのかもしれませんね。
そんな長女をそばで見ていたからか、次女はとても要領良く育ち、学校の出席日数が危うくなることもありませんでした。
――子どもの成長に伴って、異なる悩みが生まれてくるのですね。
そうですね。子育ての悩みは、子どもの成長に合わせて変化していきますし、小さい頃よりも大きくなってからの方が、ディープな悩みが増えていきます。以前の私は、「娘たちが失敗しないように」という思いから、「こうした方がいい」など、口うるさくアドバイスをしていました。でも、長女が思春期になった途端、私と距離を置き始めてしまったんです。
その様子に「私の意見を押し付け過ぎてしまったのかも」と反省し、見守りの姿勢に変えました。すると、今度は、長女の方から歩み寄ってくれるようになりました。
――お子さんとのちょうど良い距離感が見つかったのですね。
はい。その後も、娘の意思を尊重しながら見守りの姿勢を大切に過ごしています。
今、長女はネイリストとして独立し、次女も高校を卒業したらフリーランスの道を歩む可能性が高まってきました。私は会社員とフリーランス、どちらも経験しているので、「フリーランスの大変さ」を伝えた上で、娘たちが選ぶ道を応援していきたいと考えています。
「私がやらなければ」を手放したら楽になった。育児と仕事の両立で意識してきたこと
――最近ではプロ向けのフォトグラファー養成講座や、書籍の執筆なども手掛けているそうですね。どのように仕事と育児の両立をされてきたのでしょうか。
起業したての頃は、「これまで通り、家事も私がやらなければ」と無理矢理にでも両立を目指していましたが、やはり難しくて…。一杯一杯になってしまったときに、「もうやらない」と吹っ切れた瞬間があったんです。その後、しばらく家事を放置していたら、夫がやってくれるようになって。その後は、夫と家事を折半するようになり、無理せず両立できるようになりました。
――「私がやるべき」という考えを手放せたのですね。仕事でも、「大変だな」と感じたことは、周囲に頼ったりするのでしょうか。
仕事においては、不思議と「大変」と感じたことはないんです。2人の娘を育てる中で、さまざまな困難を乗り越えてきたおかげか、「困難への耐性」が身についたのかもしれません。だから、仕事でどんなに忙しくても、「なんとかなる。これを乗り越えたら成長できる」と思って取り組んでいます。
――素敵なマインドの保ち方ですね。
このマインドを保つためには、「自分へのご褒美」も欠かせません。私の場合は、ビールですかね(笑)。
――いいですね!今後チャレンジしたいことを教えてください。
現在は関東近郊での講座を開催していますが、今後は、全国各地に訪れて、カメラ講座や撮影を楽しんでいきたいと考えています。
今井しのぶ様の役に立ったおすすめグッズ
(1)食洗機
後付けタイプの食洗機を購入したところ、家事が格段に楽になりました。子育てにおいて救世主的な存在です。
(2) 子どものフォトブック
子どもの写真をフォトブックにして、見えるところに飾っていました。子どもの写真を身近なところに置くと、「自分は愛されている」と感じて自己肯定感も上がると言われています。アルバムやパネル、カレンダーなどのグッズにするのもおすすめです。
プロフィール
今井しのぶ
フォトグラファー
三重県出身、神奈川県在住。こども専門のママフォトグラファー。二児の母。2019年に株式会社こどもとかめらを設立し、撮影以外にも、フォトレッスンやフォトブック制作レッスンなどを開催。「カメラを通して子育てが楽しくなるような活動」に力を注ぐ。