アート活動を通して自分らしく、幸せに生きる人を増やしたい。親子でアートを楽しむためのポイント
ママになっても「自分自身も大切にしてほしい」――
そんな想いを掲げるネオママイズムが、さまざまなママの姿をお届けするneomamaismインタビューブログ。
Vol.15となる今回は、フランス在住、お教室やオンラインで世界中の親子にアートの魅力を伝えている山口ゆうみ様がゲストです。
「アート活動を通して自分らしく、幸せに生きる人を増やす」というモットーを掲げてアートスクールを開催されている山口さん。
これまでに、保育園では延べ900人以上、オンラインでは、世界20か国を超えて、日本にルーツのある親子を対象にして、延べ2500人以上の人たちにアートを伝えてきました。
(2024年6月時点)
今回は、そんな山口さんに、ご家庭で子どもと一緒にアート活動をするうえで親御さんが悩んでしまいがちな質問について伺い、フランス流子育てについてもお話をお聞かせいただきました。
今日からあなたも、お子さんとのアートの時間がもっと楽しく、充実したものになるはず。すべての個性と感性を尊重し、豊かな毎日を!
アート活動を通して自分らしく、幸せに生きるために
――現在フランスにお住まいの山口さん。これまでのご経歴について伺っていきたいと思います。
もともとものづくりが好きで、大学ではデザイン系の勉強をしていました。フランス人の夫と結婚して渡仏したとき、自分の好きなことで起業しようと決めて、フランスの伝統工芸“カルトナージュ”と、和紙アクセサリー作家として活動していたんです。
そのあとのびのび子育てをしたいと思い、私の地元である種子島に戻った時期に自宅で子どもとアート活動を楽しんでいたら、子どもの保育園の先生からアート教室をしてみないかとお誘いがあって。
保育園でアート教室講師や地元の子どもたちとワークショップを開催したことがきっかけでどんどん輪が広がっていった感じです。
――オンラインでも開講されているんですよね。
そうなんです。オンラインで世界の親子対象にアート教室を開催したり、クレヨンを使って表現について考える機会、そしてアートなアプローチで活動をしたい方へのサポートをしています。
これまでに、保育園では延べ900人以上、オンラインでは、世界20か国を超えて、日本にルーツのある親子を対象にして、延べ2500人以上の人たちにアートを伝えてきました。
(2024年6月時点)
――そんなに大勢を!どのようなコンセプトでやられているのですか?
「アート活動を通して自分らしく、幸せに生きる人を増やす」というモットーを掲げています。
“自分のまんまで生きる”って本来自然なことなのに、仕事や家庭などさまざまな要因があって、それが難しい方も多くいらっしゃいますよね。
なので私は、それぞれのひとが生まれ持った自分の個性を“正解”として、感性豊かに自然体でイキイキとした状態で社会と調和する人を増やしたいという想いがあって。アートは自分を解放し、表現し、見つめるにはぴったりなんです。
――思い切り自分を解放する喜びがありますよね。子育てにおいて、感性を刺激し、のびのび創造性を育てる点でもアートは素晴らしいと思うのですが、親御さんと家庭でアートを楽しむとどのような作用があるのか教えてください。
外の世界では緊張もありますが、家庭での安心感のなかで表現する機会があるということは子どもたちの心を育てる上でとても大きな意味があると感じています。
自己肯定感を育てる場にもなり、どんどん創造性を育てられるほか、親子の絆も深まります。親が俯瞰して子どもの個性や成長に目を向けられる時間となり、親としても子どもとの適切な距離感を掴む練習にもなると感じています。
作品を見たとき、どうリアクションするのがいい?
子どもとのアート活動、Q&A
ご家庭でアート活動を取り入れる重要性は理解したのですが、なかなかハードルや、悩んでしまう部分もあり…せっかくなので、山口さまに、よくあるお悩みについてお伺いしていきたいと思います!
Q1 :そもそも、どうすれば子どもがアート活動に興味を持ってくれるのでしょう?
まずは「やってみよう!」という声がけからですね。でも実際は、声をかけてもなかなか乗ってくれないときもあり、そんなときは子どもが自ら興味を持つような環境を作ることが大切です。
例えば、新しい画用紙とクレヨンをテーブルに置いておくことで自然と関心を持って手を伸ばす子も多いです。
これは私の個人的な悩みでもありましたが、口で「やろう」と言うよりも、子どもが自らやりたいと思うような仕掛けを用意することがポイントですね。
そのうえで、継続的に子どもがアート活動に興味を持つためには、親が積極的に関与することも重要になってきます。
子どもの作品を「上手だね!」などの評価する言葉で褒めるのではなく、「黄色い色を使ったんだね」「この線はなみなみしてるね」などと具体的な内容に触れながら、子どもの反応を見てください。子どもは過程を感じ取ってもらった事で、さらに表現したいと感じるようになります。
そういった声がけによって、子どもたちは「自分の表現を認めてもらえている」と感じ、自信に繋がります。また、子どもが更にアートに興味を持ち、自発的に多くの作品を生み出すきっかけにもなりますよね。
Q2:子どもが自作の絵を見せてくれたとき、何が描いてあるかわからず、リアクションに困ることがあります。どう反応するのが適切なのでしょうか?
「おお、すごいね!」といった一般的な褒め言葉よりも、「黄色を使ったね」「ここに丸があるね」と具体的な観察を伝えるといいですよ。
子どもの絵には必ずしも明確な意味があるわけではありません。「これは何?」と尋ねるのではなく、「ここ面白い形だね」などと素直に感じたポジティブな感想を伝えたり、「おもいっきりダイナミックに描けたね」などと取り組んだ姿勢を褒めることをおすすめしています。
子どもはそういった関わりの中で自己表現の楽しさを学び、さらに創造的な思考が促されるんです。
ちょっとしたポイントもあるので、ぜひ私が制作して無料配布している『アートな声かけ語録150ワード』も参考にしていただけると嬉しいです。
Q3:子どもが絵を描いたりしているときは、つきっきりで隣にいたほうがいいのでしょうか?
必ずしもそうとは限りませんし、そのときどきの状況で、柔軟にご対応ください。
全ての子どもにとってアートは人間の本能として備わっている遊びなので、活動に夢中になる環境や関わりがあるとどんどん自ら集中して取り組んでいくようになります。
子どもが絵を描いている間にお茶を飲んだり、簡単な家事を済ませたり。静かでいて欲しいとき、ついつい動画コンテンツを見せたり、ゲームを渡したりしてしまいますが、アートはそんなときにも有効です。
Q4:山口さんのアート教室に通ううちに行動や態度に変化があったお子さまもいらっしゃいますか?
普段はなかなか集中して何かに取り組むことができないという子どもたちが、アートクラスでは1時間集中してとても楽しそうに取り組む姿を見て親御さんが驚かれます。
「こんなにこの子に集中力があるなんて思いませんでした!4歳でもこんなに長時間集中していられるんですね」などと言っていただけます。
継続参加頂いている親御さんたちからは、子どものテレビやゲームが減って、今では日常的に創作活動に夢中になる姿が多くなりレッスンの経験を生かして面白い作品がたくさん生まれたりして素晴らしい成長を感じているというお声もいただいています。
Q5:期末などに子どもたちが持ち帰ってくる作品の量に圧倒されてしまいます。整理することもできず作品がどんどん溜まっていき、膨大な量になっています…どんな保管方法がありますか?
作品にはエネルギーが宿っていると思うので、私は原画はできるだけ残したいと思っています。うちではまず大きな箱に入れて、箱がいっぱいになってきて整理するタイミングで、子どもの気持ちを考慮しながら、「これは残しておきたい」と思うものはとっておきます。
それで時間を置いてから再び見直します。毎日描かれた絵に関しては、ファイルに保管していますが、捨てることができずにずっと保管していますね。
写真に撮って処分するという方もいらっしゃいますが、思い入れがある作品は残す選択をとることもおすすめです。あとで見返すと、かけがえのない感動が呼び起こされることもあります。
Q6 :山口さんがアート教室を開始してから約8年が経たれるそうですが、子どもの感性に触れ、特に印象深いエピソードがあれば教えてください。
本当にたくさんあるんですけど、特に忘れられないのは、私の次女の4歳の頃の発言です。
彼女が青空を眺めて「黄色がある、水色がある、青がある、紫がある」と色のグラデーションを感じ取ったんです。
それは非常に繊細なグラデーションで、一見するとただの青空に見えるものでしたが、彼女はその微妙な色彩を感じていて。
これは彼女が小さい頃からアートに親しんできたおかげだと思いましたし、子どもたちがアートを通じてどれだけ豊かな感性を養えるかを改めて実感した瞬間でした。
日本とフランスでの出産、育児の違い
――いちど種子島へ戻られましたが、どのタイミングで再びフランスへ?
子どもの小学校入学を機に、ですね。いろいろな理由がありましたが、家族のバランスや、当時子どもがなかなか保育園に行きたがらなかったという背景も考慮して、私たち家族にはフランスのほうが合っているのではないかと思って決めたんです。大きな決断でしたが、一ヶ所に留まる必要がなく、多くの選択肢があったのは精神的にもラクでした。そしていまに至ります。
――妊娠期間は、どのように過ごされましたか?
妊娠中は子どもやお腹の中の赤ちゃんとコミュニケーションを取るために、「ハプトノミー」を行っていました。
日本ではあまり知られていないかもしれませんが、ハプトノミーはお腹の上に手を当てて「こっちにおいで」と呼ぶと、赤ちゃんが反応して動いてくれる、そんなふうにコミュニケーションを取る方法です。
赤ちゃんサイドも多くの刺激を感じ取っていると言われています。
赤ちゃんが積極的に反応するのを見ると、親としてもなんともいえない嬉しい気持ちが湧いてきましたね。また、夫にも赤ちゃんの動きを感じてもらう機会になりました。 “子どもの意思を尊重する”という私の育児の哲学にも合っていました。
――ご出産はいかがでしたか?
長女の時は出産のイメージトレーニングを行ったんです。具体的には、出産時に赤ちゃんがどの位置にいるかを想像して、一緒に頑張っていると思うこと。
それによって出産の痛みが大きく変わりましたし、その経験が2人目の出産にもとても役立ちました。
――退院後はどのようにされましたか?
フランスでは退院が日本より早く、3日〜4日で退院します。その後は家族や友人が訪れて祝福するため、家に人が集まるんです。日本ではもっと体調が回復してからの来訪が多いですが、フランスでは出産後すぐにお客さんが家に途絶えないので、おもてなしをする側としてはかなりしんどかったです(笑)。みんな「おめでとう!」って長居することが多いですし(笑)。
――日本では安静に休むことが良しとされていますが、大きく異なるのですね!
ええ、まったく逆です。日本では1ヶ月はじっくりと休むのが一般的ですが、フランスでは出産後すぐに活動的に。
出産直後に新生児とショッピングに行ったりする姿も見受けられます。
日本ではマタニティブルーという言葉をよく耳にしますが、フランス人女性は母としてではなく1人の人間として生きるという考え方を持っていたり、出産後3ヶ月で仕事復帰も一般的なので、産後鬱のような言葉もあまり馴染みがないような気がします。
ただ海外在住日本人は文化や言葉の壁から孤独な方も多く鬱っぽくなる方も多いように思います。
――フランスでの育児は、どのように行われていますか?夫婦での育児の取り組みについて教えてください。
日本と比べてフランスは夫婦での協力が一般的ですね。子どものお迎えもパパが行くことが普通ですし、育児を「2人の子ども」という感覚で行うことが多いです。でも日本でも特に若い世代では、私のフランス人夫と変わらないくらい協力的だとも感じています。
そもそも、フランスでは夫婦の時間を非常に大事にします。たとえば、赤ちゃんは別室で寝かせることが一般的で、夫婦が一緒に寝ることを推奨されます。夫婦の関係を維持することが、子どものお世話や夫婦のコミュニケーションにも良い影響を与えるとされているからです。
――大変興味深く、学ぶものがあります。今後、山口さんが取り組みたいことや現在の関心事について教えてください。
今、特に興味を持っているのは、子どもたちのアルバム作りです。
多くの親御さんが写真を撮りためているものの、実際にアルバムを作るまでには至らないことが多いですよね。
私はこれをアートプロジェクトとして取り組んで、子どもたちの成長記録をクリエイティブなアルバムにして残すことで、家族の絆を深める手助けができればと考えています。
この活動を通じて、親子での共有の時間を増やし、親子の絆を深めることができればと思っています。
山口ゆうみ様 Instagram
https://www.instagram.com/yumi_kodomo_art_life/
ゆうみ |子どもとアートのある暮らしin フランス
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