「今感じている思い」を大切に。体験から得られる「心の声」に耳を傾けて、育児とキャリアに向き合う

ママになっても「自分自身も大切にしてほしい」――
そんな想いを掲げるネオママイズムが、さまざまなママの姿をお届けするneomamaismインタビューブログ。
Vol.30となる今回は、ライフスタイルプランナーの長屋なぎささんがゲストです。
麹食品ブランド「長屋/NAGAYA」や、アパレルブランド「aluna(アルナ)」を立ち上げ、自身が感じる心地良い暮らしを発信する長屋さん。2児の母になった現在も、その時々で変化する心の声に耳を傾けながら、育児とキャリアを両立しています。
「『やらなきゃいけない』という義務感ではなく、『やりたい』という気持ちを大切にしている」と話す長屋さんの言葉から感じるのは、穏やかさと柔軟さ。忙しい日々の中にあっても、ストレスなく育児や仕事と向き合う長屋さんに、子育てにおけるこだわりや、育児と仕事の両立について伺いました。
体験から得た気づきを発信しながら、ライフスタイルプランナーとして活動
――ライフスタイルプランナーとしての活動に至った経緯を教えてください。
20歳の頃から、東京のアパレルブランドの会社で働くようになり、PRの仕事などを担当していました。ファッションに興味はありましたが、仕事をする中で、「女性がワクワクするのはファッションだけじゃない」と考えるように。そのうちに、「日々の生活の中で、私が感じたり、経験したりしたことを発信したい」という思いが募り、27歳のときに、ライフスタイルプランナーとして独立。
その後は、ライフスタイルに関する商品企画や企業のディレクションを担当するようになりました。他にも、小柄な方のためのアパレルブランド「aluna」や、麹食品ブランド「長屋/NAGAYA」を立ち上げ、企画運営をしています。
――「aluna」と「長屋/NAGAYA」の立ち上げは、長屋さんの暮らしの中での気づきがきっかけになったそうですね。
そうなんです。私は身長が155cmで、市販の服だと長すぎたり大きすぎたりするため、以前から、ちょうど良いサイズ感の服を探すのに苦労していました。そこで、私と同じような小柄な方のためのアパレルブランドを立ち上げることにしたんです。「aluna」では、「こんな服があったらいいな」という私の気持ちを表現しています。
「長屋/NAGAYA」の立ち上げは、友人の勧めで麹調味料を使ったことがきっかけです。おいしいだけでなく、健康面でもメリットの多い麹の魅力に触れ、知識を深掘りするようになりました。健康食品に興味のない夫も、「調味料」なら抵抗なく取り入れることができたので、「男女問わず生活に馴染みやすい麹調味料を提案したい」と考えて、麹食品のブランドを立ち上げることにしたんです。
――長屋さんの「こうしたい」や「あったらいいな」という気持ちが活動の原動力になっているのですね。当時意識していた「理想の働き方」について教えてください。
「好きな時間と場所で働きたい」と、考えていました。私が結婚したのは31歳のときでしたが、当時から、「いつか子どもを産んで育児をしたい」と考えていたこともあり、「どんな状況になっても、自分らしく生きたい」というビジョンを持っていました。
「預けることに罪悪感」。産後1カ月のときに「子連れ」で仕事復帰

――32歳のときに第一子を、その4年後に第二子を出産されました。妊娠期間や出産時のエピソードをお聞かせください。
一人目を妊娠したときは、若干神経質になっていて、歩くスピードにすら気をつけていました。ただ、つわりなどの体調の変化はあまりなかったので、仕事もいつも通りしていました。
出産は無痛分娩で、自然に陣痛が来るのを待ってから麻酔を使うことを希望していました。そのため、いつ生まれるのかは赤ちゃん次第。予定日のギリギリまで仕事を入れていたら、打ち合わせの当日に陣痛が始まってしまって…。やむをえず、「これから出産するので、急ぎの確認があればメールでお願いします」と、取引先の方に伝えて出産に臨みました。
――本当に直前までお仕事をされていたのですね…! 不安や緊張はありませんでしたか?
「なるべく穏やかな気持ちでいよう」と意識していたおかげか、あまり緊張は感じませんでした。出産時は、夫以外にも、私の母親と夫の母親にも立ち会ってもらったのですが、陣痛中にお腹が空いてラザニアを食べ出した私を見て、「どういうこと?陣痛きてるのよね!?」と目を丸くしていました。
――穏やかすぎる様子に驚いてしまったのですね(笑)。出産後はすぐに仕事を再開させたのですか?
出産前にきていた連絡には、産後すぐに返信していましたが、本格的に仕事を再開したのは産後1カ月くらいでしょうか。第一子のときは、妊娠中から「仕事に子どもを連れて行きたい」と取引先に伝えていたので、息子を抱っこして展示会や打ち合わせに出向いていました。

――「子連れで仕事に行くこと」を選んだ理由を教えてください。
当時の私は、「好きな仕事を諦めたくない」という気持ちとともに、子どもを保育園に預けることに罪悪感を感じていたため、「子連れで仕事に行く」ことを選びました。幸い、「子連れ」に難色を示す取引先はなく、理解してもらうことができてよかったなと感じています。子どもの負担を考えて、「1日に1件まで」と仕事量を調整し、仕事先には早めに到着して、子どもと向き合う時間を作ることを大切にしていました。
子連れでの仕事は、オムツなどの荷物も多くなりますし、大変ではありました。でも、さまざまな人に会うことで、子どもにとっても刺激があるだろうと考えていました。
――その後も保育園には預けずに仕事をしていたのですか?
第一子の息子のときは、1歳4カ月頃までは一緒に仕事に連れて行っていましたが、その後は週に1、2回くらい一時保育を利用するようになりました。
すると次第に、「預けることに罪悪感は感じなくてもいいのかも」と考えられるようになって。子どもが保育園で楽しそうに過ごしている姿や、同年代のお友達とコミュニケーションをとっている様子を見て、「私との時間では体験できないこと」だと気づいたんです。その後、息子が2歳になるタイミングで、保育園に預けることに。第二子の娘は、生後7カ月から保育園に預けて、仕事に復帰しています。
「やらされている」ではなく「やりたいからやる」という意識で生活を楽しむ
――産後すぐに仕事に復帰され、育児との両立をすることは大変だったかと思います。当時、ストレスなどは感じていましたか?
産後は、生活が一変しましたが、特にイライラすることはありませんでした。「子どもを産んだら、これまでの『当たり前』はできなくなる」ということを、あらかじめ理解できていたからかもしれません。もちろん寝不足などの疲れは感じていましたが、変化した環境の中に「自分らしさ」をプラスしていくことで、気持ちを安定させることができたように感じています。
また、夫は仕事で夜遅くまでいないため、家事においてもほぼワンオペでしたが、「やらなきゃいけない」という義務感ではなく「私がやりたい」という気持ちで取り組んでいたので、「やらされている」というネガティブな思考にはなりませんでした。

――「やらされている」という気持ちで取り組むか、「好きでやっている」という気持ちで取り組むかで、心の余裕が大きく変わりそうですね。
考え方一つで、心の持ちようは変わると思います。産後の環境の変化に対しては、「変わってしまったことへの不満」を抱くより、「変わった環境を楽しもう」という気持ちでいられれば、前向きな思考を保てるのではないでしょうか。
それに、心に余裕があるかないかで、子どもへの接し方も変わってしまいます。余裕が持てず、子どもへの対応が雑になってしまわないように、日常的に「心の余白」を作ることを大切にしていますし、何より、「ママは楽しんで生活をしている」と子どもたちにも感じてほしい。もちろん仕事に対しても、「楽しく働いている」という姿勢を、子どもたちと共有したいと思っています。
「心の声」に耳を傾けて、今後も育児と仕事を両立したい
――今、お子さんは6歳と3歳になったそうですが、現在の仕事と子育てのバランスはいかがですか?
今年、息子が小学生になり、さらに環境が変わりました。当初、「放課後は学童保育所に通ってもらおう」と考えていましたが、長男が「学童に行きたくない」と言い出して。学童に行かないお友達が多く一緒に電車で下校したいという気持ちがあったようです。でも、息子の言葉を聞いたとき、「学童を無理やり続けさせる」という選択肢は私の中ではなく、「下校」させることにしました。
以前に比べると、仕事をする時間は制限されていますが、今は「子育てを優先したい」という気持ちです。「できること」と「できないこと」を仕事相手にしっかりと伝えて、仕事と子育てのバランスを取ることを意識しています。
――その時々の状況に合わせて、「どうしたいか」を決めているのですね。
子育てって、「その時の立場」になってみないとわからないことが多いと思うんです。子どもの性格によっても、取るべき行動は変わってきます。どんな環境になるのか、どんな感情を抱くのかは、その瞬間になってみないとわかりません。「こうしなきゃ」と計画を立ててしまうと、その通りに進めなかったときに苦しくなってしまうと思います。
そうではなくて、その時に感じた気持ちに耳を傾けて、「今の状況で何ができるか」を考えて選択していくことが、柔軟でいるためには大切なのかなと感じています。

――柔軟な思考力が、長屋さんの心の余白につながっているのですね。今後チャレンジしたいことはありますか?
「長屋/NAGAYA」のブランドをもっと大きく育てて、海外展開もしていきたいですし、企業ディレクションの仕事も増やしていきたいと考えています。
また、現在、女性向けのスクールの運営を企画しています。子どもに対しては「自己肯定感を持ってほしい」と願っているのに、自分自身のことになると「私なんて」と悲観的になってしまう女性も多いと思います。でも、一人ひとり、経験してきた出来事があり、その経験値はその人だけのもの。女性が自分らしくアウトプットすることで、気持ちが豊かになれるようなお手伝いをしたいと考えています。
今、母として、主婦として、女性としてやりたいことがたくさんあって、正直バランスを取るのが大変ですし、今後もさまざまな変化に直面するかもしれません。でも、どんな状況においても、「その時の感情」を大切にしながら、柔軟に、楽しく過ごしていけたらいいなと思っています。
長屋なぎさ様の役に立ったおすすめグッズ
(1)エルゴベビー「抱っこ紐」
抱っこ紐は「外で使うもの」だと思っていましたが、家の中でも大活躍。子どもを抱っこしつつ、両手が空くので、子どもをあやしながら、洗濯物や料理などの家事をやることができました。
(2)ベビースマイル「メルシーポット」
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電動の鼻水吸引機で、子どもが風邪気味のときにとても助けられました。鼻水を強力に吸い取ってくれるので、子どももスッキリ。友人に出産祝いでプレゼントするくらい気に入っています。
プロフィール
長屋なぎさ
ライフスタイルプランナー
アパレル会社でPRやプレスを担当した後、27歳のときにライフスタイルプランナーとして独立。以降、企業ディレクションやアドバイザー、ライフスタイルアイテムの企画などを手掛ける。2021年に会社を立ち上げ、麹甘酒・麹調味料ブランド〈長屋/NAGAYA〉や、アパレルブランド「aluna」を運営。32歳のときに第一子、36歳のときに第二子を出産し、2児の母として、育児と仕事を両立している。
https://www.instagram.com/nagisanagaya/